顔面神経麻痺
顔面神経麻痺(Bell麻痺・ラムゼイハント症候群)
— ペインクリニック内科で行う診断と治療 —
リハビリテーション科併設のペインクリニック内科である当院だからこそできることがあると感じ、当ページを作成いたしました。
1. 顔面神経麻痺とは
顔面神経麻痺は、顔の表情をつくる神経(第VII脳神経:顔面神経)が障害されることで、片側の顔が動かしにくくなる疾患です。 年間発症率は 10万人あたり約50人 とされ、突然発症することが多く、日常生活に大きな影響を与えます。
主な原因は以下の2つです:
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ベル麻痺(約60%):単純ヘルペスウイルスの再活性化が関与
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ラムゼイハント症候群(約20%):水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因
2. 主な症状
顔面神経麻痺では、以下のような症状がみられます:
● 表情筋の障害
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額にしわを寄せられない
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目が閉じにくい
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口角が下がる、飲水時に口から水が漏れる
● 感覚・自律神経症状
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味覚低下
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涙の減少
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音が響く(聴覚過敏)
● 内耳症状(ウイルスが内耳にも炎症を起こした場合)
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難聴
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耳鳴り
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めまい
3. 診断方法
顔面神経麻痺の診断では、中枢性(脳梗塞など)と末梢性(ベル麻痺・ハント症候群)の鑑別が最重要です。
● 問診
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発症時期・経過
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耳痛、味覚障害、めまいの有無
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既往歴(外傷・中耳炎など)
● 身体診察
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額のしわ寄せの可否(中枢性との鑑別点)
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耳介・口腔内の帯状疱疹の有無
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片側性か両側性か
● 補助検査
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神経伝導検査(電気生理検査)
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MRI(中枢性疾患の除外)
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血液検査(ウイルス抗体など)
4. 治療の基本方針
発症後72時間(3日以内)の治療開始が予後改善の鍵とされています。
● ① 薬物治療(急性期)
■ ステロイド
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炎症と神経のむくみを抑える
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ベル麻痺の標準治療
■ 抗ウイルス薬
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ラムゼイハント症候群、重症例で併用
● ② ペインクリニックで行う治療
■ 星状神経節ブロック(SGB)
傷ついた顔面神経の再生プロセスには神経周囲の毛細血管から供給される酸素と栄養素が必要ですが、それらを届けるために顔面への血流は非常に重要です
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顔面の血流改善
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神経の回復促進
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痛み・自律神経症状の改善 (※多くの臨床現場で補助療法として用いられています)
● ③ リハビリテーション(急性期と回復期で内容が異なります)
- 急性期は顔面の拘縮予防で顔面マッサージをおこなっていきます ※この時期の無理な運動療法は、病的共同運動(口を動かすと目が閉じるなど)という合併症が生じる原因となります
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鏡を見ながら左右対称にゆっくり動かす「ミラーバイオフィードバック療法」
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力任せの運動は逆効果
● ④ 後遺症への治療
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ボツリヌス治療(こわばり・不随意運動) (当院ではボツリヌス使用による治療はおこなっておりません)
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リハビリ継続
5. 注意点
● 早期受診が最重要
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発症3日以内の治療開始で後遺症リスクが大幅に減少
● 目の保護
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目が閉じにくい場合は、角膜保護のため人工涙液や眼軟膏を使用をおこなうこともあります。適宜、眼科への紹介もさせて頂きます
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必要に応じて就寝時は眼帯を推奨
● 入浴・運動
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発熱や強い疲労がある場合は控える
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過度な飲酒・睡眠不足は悪化要因
● ストレス管理
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ウイルス再活性化の誘因となるため、十分な休息が必要
6. ペインクリニック内科での治療の特徴
当院では、以下の総合的アプローチで治療を行います:
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急性期の薬物治療
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星状神経節ブロック(SGB)による神経回復促進
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リハビリ指導
損傷した顔面神経の再生速度は1日1〜3mm程度といわれており、麻痺の回復には時間がかかることもありますが、適切な治療で多くの方の改善が期待できます
7. 引用文献(ホームページ掲載用)
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済生会「顔面神経麻痺とは」2023.12.13 公開
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村上信五:顔面神経麻痺の診断と治療(J-STAGE)
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顔面神経麻痺 症状と治療方法の最新ガイド(医療情報サイト)
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日本顔面神経学会『顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版』解説記事
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医知創造ラボ「顔面神経麻痺の標準治療と最新動向」
